2015年9月13日日曜日

より良く

 書き物をする上で、書いては消しってのは相当な悪癖、だとは思う。でも、どうしても今書いたものが最上とは思えない以上、手直しが入る。描き物する際の迷い線のようなものだろうな、多分。描き上げることが最優先課題だとわかっているのに、つい、もう一本線を引いてしまう。同じように書き上げる事が求められているのに、自分の中に残る「なにか違う」感。これじゃない、そうじゃない、ちがう、もっと…… 自分の声を納得させるのは困難だとわかっているけれど抗いがたい衝動が走る。永遠に完成しないループに嵌ってしまう。
 でも、たしか、ある画家がこう言ったんだ。

 「もう一本、線を引く。ぐっと良くなる」

 その次の言葉をぼくは知らない。ただただ、より良い、最上の、これしかない、という線を探して迷い続けている。